更年期とは

定義

更年期とは、女性の閉経の前後5年のことを指し、この期間に現れる様々な症状の中で他の病気が原因でないことが明確なものを更年期症状と呼び、この中でもさらに日常生活に支障を来すものを更年期障害といいます1)。閉経とは卵巣の活動性が次第に低下し、ついに月経が永久に停止した状態のことをいいます1)。個人差はありますが日本人の閉経は50歳前後と報告されています2)

症状

更年期症状は様々ですが、大きくは3つの症状に分類されます。

1.血管に関する症状

顔のほてり・のぼせ(ホットフラッシュ)・発汗など

2.身体的な症状

易疲労感・めまい・動悸・頭痛・肩こり・腰痛・関節痛・足腰の冷えなど

3.精神的な症状

不眠・イライラ・不安感・抑うつ気分など

原因

更年期障害の主な原因は卵巣機能の低下によるE2(エストロゲン)の大きな変動及び低下ですが、同時に加齢などの身体的な変化、心理的な要因、職場や家庭における人間関係などの社会的な環境要因が複合的に影響しあうことで症状が現れると考えられています1)

診断

卵巣機能の低下がないかを評価するとともに、加齢に伴う身体的な変化や、問診による症状の内容・強さ・背景などを複合的に診て診断していきます4)

更年期は甲状腺疾患を持ちやすい年齢とも重なっています。甲状腺機能に異常が出たときの症状として月経異常、顔のほてりやのぼせ、不眠やイライラなど更年期症状と似たものが多くなります5)ので、更年期かなと思っていた症状が甲状腺によるものだったということもよくあります。症状が強い場合には婦人科もしくは内分泌内科を受診し、医師にご相談ください。

治療法

更年期障害に対する治療法には、ホルモン補充療法、漢方薬、抗鬱薬・向精神薬・カウンセリングなどが挙げられます。

1. ホルモン補充療法(Hormone replacement therapy:HRT)

更年期の主な原因はE2のゆらぎや減少であるため、E2を補充することで症状の改善や予防を行うことができます。特に、E2が足りないことが原因で更年期に出現する、ほてりやのぼせなどの症状の改善に有効と言われています6)

2.漢方薬

漢方は更年期障害における様々な症状に有効であり、自律神経を整えたり、血行を促進したり、鬱症状を抑えるといった作用を持っています7) 。人によって更年期症状は多種多様ですが、それぞれに合わせた漢方の選択肢がありますので、医師にご相談ください。

3.抗鬱薬・向精神薬・カウンセリング

精神的な症状が強い場合には、そういった症状を抑える薬(抗鬱薬・向精神薬など)も使用されます8)。加えて、家庭や職場におけるストレス管理をアドバイスしたり、カウンセリングを行うなどの心理療法が有効であるとされています8)

4.その他

バランスのとれた食事を取ったり、定期的な運動を行ったりすると、ストレス解消の効果があるだけでなく、閉経の前後で起こりやすい心血管系の疾患や骨粗しょう症などにかかるリスクを減らすことができます。肥満女性においては更年期症状の改善にも有用であることが報告されています9)

参考文献

1) 日本産科婦人科学会:産科婦人科用語集・用語解説集 改訂第3版, 2013; 181

2) Yasui T, et al: Factors associated with premature ovarian failure, early menopause and earlier onset of menopause in Japanese women. Maturitas 72: 249-255, 2012.

3) Shifren JL, et al.: Menopause 2014; 21: 1038-1062 

4) 日本産科婦人科学会生殖・内分泌委員会:「日本人用更年期・老年期スコアの確立とHRT副作用調査小委員会」報告 -日本人女性の更年期症状評価表の作成-. 日本産科婦人科学会雑誌 2001; 53: 883-888

5) Schindler AE: Gynecol Endocrinol 2003; 17: 79-85 

6) Maclennan AH, et al.: Cochrane Database Syst Rev 2004; 4: CD002978 

7) 寺内公一: 産婦人科医必携 現代漢方の基礎知識 更年期障害. 産婦人科の実際 2014; 63: 315-320

8) 後山尚久: 更年期のヘルスケアー精神・心理面でのケアとカウンセリング 産婦人科治療88: 1218-1227

9) Huang AJ, et al.: Arch Intern Med 2010; 170: 1161-1167

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