低用量ピルとは
定義
女性ホルモンであるエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)が配合された薬剤で、副作用を抑えるためにエストロゲンを低用量にしているもののことをいいます1)。排卵を抑える2) 、子宮内膜の増殖を抑える3)、おりもの(頸管粘液)を変化させることによって、高い避妊効果を得ることができます。
効能
低用量ピルは避妊以外にも、月経不順の改善や、子宮内膜症の予防・改善など、下記のように様々な効果を持っています。
- 月経痛の軽減1)
- 経血量の減少2)
- 月経不順の改善
- 月経前症候群(PMS)、またPMSが重症化した月経前不快気分障害(PMDD)の改善3)
- 卵巣癌、子宮体癌、大腸癌の発生リスクの低下4), 5)
- 子宮内膜症の予防・改善
- 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の改善
- ニキビ・肌荒れ・多毛などの改善
注意点
低用量ピルは高い避妊効果を持ちますが、性感染症を防ぐ効果はありません。性感染症予防のためにはコンドームを使用してください。
副作用
低用量ピルの使用開始当初は、吐き気や頭痛、むくみなどが発生することがあります6)。
また、重大な副作用としては、血栓症(血管が詰まってしまう病気)の発生リスクがあります7)。
特に、下記に当てはまる方は低用量ピルの服用ができません。
- 高血圧の方
- 心臓の疾患のある方
- 片頭痛のある方
- 35歳以上で1日に15本以上の喫煙をされる方
- ご自身もしくは家族に血栓症にかかったことのある方
- 乳癌、子宮頸癌の疑いがある方 5), 8)
- 妊娠または妊娠している可能性のある方
- 出産後4週間以内、もしくは授乳中の方
参照文献
OC/LEPガイドライン2015年度版(日本産科婦人科学会)
1) 日本産科婦人科学会編:低用量経口避妊薬, 低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬ガイドライン. 東京:日本産科婦人科学会, 2015(Guideline)
2) Fraser I, et al.: Aust N Z J Obstet Gynaecol 1991; 31:66-70
3) Marr J, et al .: Contraception 2011; 84: 81-86
4) Havrilesky LJ, et al.: Obstet Gynecol 2013; 122: 139-147
5) Gierisch JM, et al.: Cancer Epidemiol Biomarkers Prev 2013; 22: 1931-1943
6) 水野正彦, 他:基礎と臨床 1990; 24: 7647-7676
7) ACOG Committee Opinion Number 540: Committee on Gynecologic Practice. Obstet Gynecol 2012; 120: 1239-1242
8) Smith JS, et al.: Lancet 2003; 361: 1159-1167
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