甲状腺機能亢進症(甲状腺中毒症)とは

定義

甲状腺機能亢進症(甲状腺中毒症)では、血中の甲状腺ホルモンが過剰になります。

種類としては下記のようなものがあります。

1. 甲状腺ホルモン合成・分泌が過剰となる場合(バセドウ病や甲状腺腫)
2. 甲状腺が破壊されホルモンが流出し、血中ホルモン過剰となる場合(甲状腺炎)

症状

甲状腺ホルモンは全身の代謝を向上させる作用があるため1)、過剰になると以下のような症状がでます2)

また、急性型の甲状腺機能亢進症は甲状腺クリーゼとも呼ばれ、精神錯乱、昏睡、発熱、心不全、下痢や嘔吐、筋力の大幅な低下などの重度な症状が見られます2)

原因

甲状腺機能亢進症は甲状腺ホルモンの合成・分泌が過剰となるか、甲状腺組織が破壊されることでホルモンが血中に放出されることで生じます3)

一般的な原因には以下のものがあります4)

1. 合成・分泌が過剰となる場合:バセドウ病、甲状腺腫(プランマー病)
2. 甲状腺炎

関連疾患

診断

甲状腺機能亢進症の診断では、まず体重減少・動悸・多汗などの症状や血圧・心拍数測定などから疑わしい症状がないかどうかを確認します。次に血中のTSH濃度とT4濃度を測定します。甲状腺機能亢進症ではTSHは低く、T4は高い値となっています。ホルモン値からも甲状腺機能亢進が疑われる場合、原因を特定するため甲状腺に対する自己抗体の測定や、甲状腺の超音波や放射性ヨードを用いた画像検査などを行います7)

治療法

甲状腺機能亢進症の治療には薬物治療・手術治療・放射線治療があります。薬物治療では抗甲状腺薬を内服して甲状腺ホルモン値をコントロールします。特に症状の強い方では無機ヨードを使う場合や、動悸や震えに対する対症療法としてβブロッカーという抗不整脈薬などの薬剤を併用することもあります8), 9)。放射線治療や手術療法も症例に合わせて選択されることがあります。

参考文献

1) J. Jameson: semanticscholar, 2011

2) 日本内分泌学会:「甲状腺機能亢進症における間脳下垂体甲状腺系調節機構について」日本内分泌学会雑誌49-4:698-706, 1973

3) 日本内科学会: 「薬剤による甲状腺障害」99:776~785, 2010

4) 山田隆司: 「バセドウ病の抗甲状腺治療とTSHrecepter抗体」日本内分泌学会雑誌67-12:1295-1308, 1991

5) 三好正規:「慢性甲状腺炎の下垂体・甲状腺機能に関する研究」日本内分泌学会雑誌 51-4:193-201, 1975

6) 大道卓也:「プランマー病における甲状腺の微小血管構築」日本気管食道科学会会誌43-1:53-58, 1992

7) 和田剛志:「甲状腺クリーゼと診断した4例の検討」日本集中治療医学会雑誌17-2: 191-195, 2010

8) Pinchera A, P Liberti, E Martino, GF Fenzi, L Grasso, L Rovis and L Baschieri: Effects of antithyroid therapy on the long - acting thyroid stimulator and the antithyroglobulin antibodies. J Clin Endocr Metab 29: 231, 1969

9) 日本内科学会: 「薬剤による甲状腺障害」99:776~785, 2010

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