更年期の対処法

更年期には、エストロゲンの急激な減少に加えて、加齢や長年の生活習慣によって様々な症状が出現します。それらに対する治療法は様々で、保険診療下で行える薬物療法から自分でできる生活習慣の改善やサプリメントなど、個々に合わせた治療法を医師の判断の元総合的に行っていきます。ここでは、主に更年期の症状に対して自分でできる食事・運動・睡眠などの生活習慣の改善方法、自分で買えるサプリメントの選択肢を、症状の改善に役立ててみましょう。またこれらは更年期に同時にリスクの上がる生活習慣病の予防や改善にもなるため、ご自身を振り返り改善した方がいい思うものがあれば取り入れてみましょう。

1.食事について

更年期にはエネルギ―や脂質の代謝および骨代謝も大きく変化するため、偏りのある食生活では潜在的に栄養の過剰もしくは欠乏状態になることから心身のバランスが崩れやすくなり、生活習慣病のリスクが高まる可能性があります1)。更年期の女性がどのような食事を心がければいいのか、についてはあくまでバランスの良い食事、を心がけることが重要です。

下記の図は厚生労働省が示す、一般的な健康な人を対象とした「食事バランスガイド」 ですが、更年期の食事を見直すガイドとしても有効です。軸は水分で、食事の中で欠かせないものとされ、運動を加えることで全体の食事バランスが安定します。「食事バランスガイド」は主食、副菜、主菜、牛乳・乳製品、果物の5つから構成され、上から量的に多く摂る必要の高いものの順番に並んでいますので参考にしてみてください。また、食事のバランスを1日の中で揃えるのが難しい場合には、1週間をトータルとして考えバランスを取り、継続していくことが重要です2)

2.運動について

一般的に女性の身体は男性に比べて脂肪が多く筋肉が少なく、更年期以降の女性はさらに体脂肪が蓄積しやすくなっています。実際に「国民健康・栄養調査」でも、40代女性のBMI25以上は17.4%、50代になると22.2%と増加しています3)。更年期女性に対する運動の効果を報告した研究では、閉経前の女性のランニング程度の運動が骨密度を維持向上させること、日頃、座位中心の生活スタイルの女性がレジスタンス運動を行うと筋力の向上、血中脂質、骨機能への効果があること、更年期についての知識を得たうえで運動を行うと、しびれや感覚異常、イライラ感に効果があることなどが報告されています4)

厚生労働省の健康づくりのための身体活動基準2013では、18~64歳の身体活動(生活活動・運動)の基準として、「息が弾み汗をかく程度の運動を毎週 60 分行う」とされています。例えば、ウォーキングや自重で行う軽い筋力トレーニング、ゴルフなどがあります5)

3.睡眠について

更年期女性は初期には32~40%、後期には38~46%が不眠を経験すると報告されています6), 7)。不眠の原因は様々で、例えば火照りは昼より夜に多く、目が覚める原因となります。また、不安や抑うつなどの精神症状や更年期に起こりやすいむずむず足症候群も不眠の原因となります。そのため、解消するには一般的な不眠対策である日中の運動や、入浴の質を高める、睡眠時間を規則正しくし、寝る前にスマートフォンを見ない、朝起きたら日の光を浴びるなどに加え、火照りや不安・抑うつ、むずむず足症候群の治療を並行して行うことが有用です。

4.有効なサプリメント

植物性エストロゲンである大豆イソフラボンは火照りの頻度を減少させるという報告がある8), 9)ほか、改善に有効性が大豆イソフラボンの一種であるダイゼインの腸内細菌分解物であるS-エクオール10)、ブタ胎盤抽出物(いわゆるプラセンタ)11)、ブドウ種子ポリフェノール12)などにより更年期症状の改善を認めたという報告もあります。

参考文献

1) 杉山みち子:更年期の保険学ー半健康状態と生活習慣の改善. 第一出版, 東京. 1995

2) 厚生労働省「食事バランスガイド」について https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/eiyou-syokuji.html

3) 厚生労働省:国民健康・栄養調査(平成29年)(レベルⅣ)https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177189_00001.html

4) 宮内清子 佐久間夕美子 佐藤千史 日健教誌 第17巻 第1号 2009年「更年期女性に対する健康教育に関する過去10年間の文献検討」https://www.jstage.jst.go.jp/article/kenkokyoiku/17/1/1713/_pdf

5) 健康づくりのための身体活動基準2013
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002xple-att/2r9852000002xpqt.pdf

6) Dennerstein L, Dudley EC, Hopper JL, Guthrie JR, Burger HG. A prospective population-based study of menopausal symptoms. Obstet Gynecol. 2000 Sep;96(3):351-8. doi: 10.1016/s0029-7844(00)00930-3.

7) Kravitz HM, Ganz PA, Bromberger J, Powell LH, Sutton-Tyrrell K, Meyer PM. Sleep difficulty in women at midlife: a community survey of sleep and the menopausal transition. Menopause. 2003 Jan-Feb;10(1):19-28.

8) Taku K, Melby MK, Kronenberg F, Kurzer MS, Messina M. Extracted or synthesized soybean isoflavones reduce menopausal hot flash frequency and severity: systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials. Menopause. 2012 Jul;19(7):776-90.

9) Hirose A, Terauchi M, Akiyoshi M, Owa Y, Kato K, Kubota T. Low-dose isoflavone aglycone alleviates psychological symptoms of menopause in Japanese women: a randomized, double-blind, placebo-controlled study. Arch Gynecol Obstet. 2016 Mar;293(3):609-15.

10) Aso T, Uchiyama S, Matsumura Y, Taguchi M, Nozaki M, Takamatsu K, Ishizuka B, Kubota T, Mizunuma H, Ohta H. A natural S-equol supplement alleviates hot flushes and other menopausal symptoms in equol nonproducing postmenopausal Japanese women. J Womens Health (Larchmt). 2012 Jan;21(1):92-100.

11) Koike K, Yamamoto Y, Suzuki N, Yamazaki R, Yoshikawa C, Takano F, Takuma K, Sugiura K, Inoue M. Efficacy of porcine placental extract on climacteric symptoms in peri- and postmenopausal women. Climacteric. 2013 Feb;16(1):28-35.

12) Terauchi M, Horiguchi N, Kajiyama A, Akiyoshi M, Owa Y, Kato K, Kubota T. Effects of grape seed proanthocyanidin extract on menopausal symptoms, body composition, and cardiovascular parameters in middle-aged women: a randomized, double-blind, placebo-controlled pilot study. Menopause. 2014 Sep;21(9):990-6.

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